令和3年度 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

年齢階級別退院患者数

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年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 19 35 40 93 155 248 613 956 473
 令和3年度上白根病院における退院患者数につきましては、前年比で1.1%(28名)の微増、トータルで2,632名でした。今期は感染予防だけに限らず、新型ウィルスとの共存が余儀なくされ、当院でも院内クラスターの発生がありました。そのような状況下でも職員ひとりひとりが知恵を出し合い、協調しながら歩んで来た結果、前年と同数の受け入れを確保することができました。病床逼迫、地域医療の崩壊等、コロナ禍における悲観的なことばがさけばれ続けた局面の中、近隣病院と連携することで度重なる荒波を乗り越えることができました。
 新年度は病院目標に「頼れる病院、誇れる病院」を掲げ、患者様、そのご家族様だけに限らず、近隣のクリニック、施設とも連携を図り、地域に根差した病院作りを目指していきたいと考えております。「困った時にいつでも診てくれる」「地域にこの病院があって良かった」と思っていただけるよう、職員同士が力を合わせ地域医療の確保に尽力して参ります。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 223 18.45 20.57 12.11 85.36
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 132 3.70 2.65 0.00 68.96
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 119 15.01 13.14 10.92 82.58
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 99 17.00 17.35 6.06 85.27
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 50 10.24 9.21 0.00 81.40
 令和3年度の入院は誤嚥性肺炎が最も多く次に内視鏡的治療、尿路感染症、心不全、胆道系感染症の順となっています。患者さんの平均年齢は80才以上であるのに加えて、患者さんの多くが心臓病、脳血管障害、認知症、糖尿病、高血圧症、整形外科疾患といった持病をかかえておりました。したがって、病気が治癒しても入院前の生活まで体力が回復できることは容易ではありません。当院ではそうしたことを考慮し、患者さんひとりひとりの病状に合わせた治療、リハビリを行い、退院後の在宅復帰へ向けての支援やリハビリ施設への転院介入にも積極的に力を入れています。

外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 48 4.21 4.74 2.08 71.52
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 23 10.30 9.00 8.70 72.78
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 定義副傷病なし 20 16.70 15.76 5.00 75.95
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 19 4.89 5.40 0.00 39.42
060335xx02000x 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 19 7.63 7.11 0.00 61.58
 外科領域では地域の頼れる急性期病院となるべく診療所やクリニック、周辺の医療施設と連携をとりながら診療を行っています。ご高齢の患者様の割合が多い傾向ですが平均在院日数は全国平均と大きく変わりません。
 疾患としては地域の診療所やクリニックからご紹介頂く虫垂炎や胆嚢炎などの急性疾患や、他院で手術された患者様でも当院周辺の施設に入所されている方は受け入れさせて頂いている腸閉塞等が多い疾患となっています。
 鼠径ヘルニアは非常に身近で罹患率の多い疾患であり、近隣の方に安心して治療を受けていただけるよう専門外来を開設して診療しています。
 消化器悪性疾患(癌)については専門施設に劣らない標準的治療を提供出来るよう心掛けています。近年胃癌が減少し、患者数では大腸癌が増えていますが、いずれの疾患に対しても癌治療専門医が患者様の状態に見合った医療を提供しております。
 いずれの疾患も患者様の身体的負担が減るように、そのほとんどを腹腔鏡下手術で行っています。

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 177 36.40 25.32 29.38 84.64
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 82 26.67 19.34 26.83 82.96
160720xx01xxxx 肩関節周辺の骨折・脱臼 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿等 25 18.08 14.64 8.00 71.28
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病なし 20 7.60 4.99 5.00 72.55
160980xx99x0xx 骨盤損傷 手術なし 手術・処置等2なし 20 28.25 19.02 30.00 82.25
 骨折は非常に多い疾患ですが、当科では股関節大腿近位骨折に対するご高齢の患者さんが多く、平均年齢が84.64歳と超高齢な患者構成になっております。近年、内科的合併症(心疾患など)を持った患者さんが増加傾向にあるため、内科医・麻酔科医と連携し、安全に手術ができる体制を備えておりますが、全国の平均在院日数が25.32日なのに対し、当院は36.40日と約11.08日長くなっております。高齢化に伴う退院調整の困難さも要因と考えられますが、急性期医療からポストアキュートに移行するタイミングを見極め、地域包括ケアシステム(竹山病院)との連携を密にする必要性があります。医療の役割分担を明確にするとともに、地域に接した医療提供を目指しております。
 次いで、当科ではご高齢の患者さんの圧迫骨折が多くなっております。胸椎・腰椎圧迫骨折の一種で、外部から加えられた圧迫する力によって脊椎の椎体と呼ばれる部分が潰れてしまうことによって起こる病態です。頻度としては、第11~12胸椎と第1腰椎の移行部に多発するとされております。圧迫骨折は基本的には骨の強度(密度)が低下している高齢者や女性に多いと言われております。
 基本的な治療法は、保存治療となりますので、コルセットを着用し骨が形成されるまで患部の固定と安静が必要です。

脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし発症前Rankin Scale 0、1又は2 32 17.06 15.63 18.75 76.38
030410xxxxxxxx めまい(末梢前庭以外) 17 5.65 4.92 5.88 70.88
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 18.90
010060x2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等22あり 定義副傷病なし発症前Rankin Scale 0、1又は2 15.57
010060x2990411 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病1あり発症前Rankin Scale 0、1又は2 17.48
 地域の二次救急病院として、脳梗塞や脳出血などの脳卒中、頭部外傷、てんかん発作、めまいや頭痛などの疾患を広く診療しております。
 脳卒中は急に発症する疾患で、意識障害や半身の麻痺・痺れ、呂律障害などの症状を起こします。診断と治療は時間勝負で、当院では早期診断、早期治療を心がけております。また早期よりのリハビリテーションも当院の特徴です。頭部外傷では、最近は高齢者の外傷患者が多く、特に抗血小板薬や抗凝固薬などの血液をサラサラにする薬を内服されている患者さまには、積極的な検査を行っております。また慢性硬膜下血腫についても、手術治療を行っております。めまいについては、頭位変換性めまいなどの内耳性めまいが多い傾向がありますが、時に脳梗塞や一過性脳虚血発作、不整脈や心臓弁膜症など、専門的な治療が必要な患者さんが含まれており、積極的に入院治療を行っております。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

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初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 1 8
大腸癌 12 10 11 16 1 8
乳癌 1 8
肺癌 1 6,8
肝癌 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 悪性疾患(癌)では主に大腸癌(直腸癌含む)や胃癌などの消化器癌を中心に、横浜市立大学医学部附属病院や神奈川県立がんセンターなどで修練を行った癌治療専門医が治療にあたっております。
 昨今診療控えにより、高齢者の進行癌が増えている印象です。患者様の状態などを考慮して最新の知見を元に手術や化学療法など最良の治療を行う方針ですが、放射線治療など当院で行えない治療に関しては当該施設への紹介なども行っています。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

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患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症
中等症 36 13.69 81.39
重症 15 17.80 81.73
超重症
不明
 市中肺炎とは自宅で生活していた人がかかる肺炎ですが、高齢者の場合、時として、意識障害、血圧低下、低酸素血症などの重大な症状を伴い、命にかかわるほどの重症肺炎となることもあります。軽症であれば1週間程度の入院で済みますが、高齢者の場合は中等度以上の肺炎が大多数であり、入院日数も2週間以上必要です。また高齢になるほど重症化しやすく、重症、超重症患者の平均年齢は85才以上であり、80歳以上高齢者肺炎患者さんは早目の対応、早期診断治療が必要です。

脳梗塞の患者数等

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発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 80 26.01 79.34 22.62
その他
 脳梗塞は、脳の動脈が突然詰まることにより、急に意識障害や半身の麻痺・痺れ、呂律障害を起こす疾患です。いわば脳が窒息した状態であり、診断と治療は一刻を争うものです。当院では、脳神経外科、脳神経内科、リハビリテーション科がチームを組み、迅速な診断と治療を心がけ、積極的な早期リハビリテーションを行っております。リハビリテーションは、運動機能の回復を目標とした理学療法や、日常生活動作能力・高次脳機能障害の回復を目的とした作業療法、言語療法や摂食機能の回復を目的とした言語聴覚療法など、総合的に機能回復を目指したリハビリテーションを行っております。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 118 1.08 1.61 0.00 69.23
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 56 3.50 7.73 1.79 80.98
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル以上 19 1.21 2.16 0.00 66.79
K654 内視鏡的消化管止血術 14 4.21 11.29 14.29 73.36
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 12 13.50 18.00 8.33 84.00
 当院ではスクリーニングの下部消化管内視鏡検査時に院内での規則に則り、その場でポリープを切除しております。上記基準よりも大きいポリープなどは後日入院下での切除を行っております。
 地域がらもあり当院へ来院される患者さんに消化器内科の疾患が多く、必要であれば可能な限り緊急内視鏡を実施しております。急性胆管炎に対するERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)での胆道ドレナージや吐下血に対する内視鏡的止血術などを中心に行っております。
 その他、外来や近医の先生方より内視鏡治療依頼を受け、総胆管結石、癌などによる閉塞性黄疸に対しての待機的ERCP、早期胃癌に対するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、食道静脈瘤に対してのEVL(内視鏡的静脈瘤結紮術)なども併せて行っております。また、加齢による経口摂取不可能な患者さんに対しての内視鏡的胃瘻造設術(PEG造設)も適応を選別し行っております。

外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 45 1.49 4.96 0.00 68.29
K634 腹腔鏡下鼠経ヘルニア手術(両側) 38 1.08 2.16 2.63 70.00
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 19 0.84 3.05 0.00 39.42
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 17 4.06 12.24 0.00 75.47
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 10 1.90 6.50 10.00 54.00
 外科では手術別患者数は診断別患者数とほぼ同様の傾向になります。両者を比較しても近年は当院における手術の大部分を腹腔鏡下手術で行っている事が分かります。腹腔鏡下胆嚢摘出術は胆嚢炎だけではなく胆石症の発作や、総胆管結石に対しても施行されているため件数が増えています。腹腔鏡下手術はその他胃癌の手術などでも行っています。
 当院に特徴的な部分として肝硬変や癌の腹膜播種などによる難治性腹水に対して腹水濾過濃縮再静注療法や腹腔静脈シャント等の治療があります。これらは近隣の病院で施行が難しい場合にご紹介いただくこともあり、件数が多くなっています。

整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 142 5.88 28.28 21.13 82.32
K0811 人工骨頭挿入術 肩、股 66 6.18 28.95 34.85 83.86
K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 48 3.65 15.63 4.17 66.96
K0463 骨折観血的手術 鎖骨、膝蓋骨、手(舟状骨を除く。)、足、指(手、足)その他 19 2.37 13.47 15.79 57.21
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術 前腕、下腿 15 1.00 1.73 0.00 58.33
 当科では、股関節大腿近位骨折に対して、骨折観血的手術・人工骨頭挿入術がおこなわれております。疾患に対して、在院日数が全国平均よりも長い傾向にありますが、超高齢者が多く内科的合併症(心疾患など)を持った患者さんが増加傾向にあるため、内科医・麻酔科医と協力し、安全に手術出来るような体制を整えております。股関節大腿近位骨折とは股関節の骨折でありますが、骨折した部位や状態によって手術手技が異なります。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

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DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる
180010 敗血症 同一 13 0.49
異なる 13 0.49
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一
異なる
 敗血症は感染症によって引き起こされた全身性炎症反応です。高熱、脈、呼吸数の増加、血液検査の白血球数を基準に診断します。原因となる感染症は肺炎、腹膜炎、肝胆道感染、髄膜炎、尿路感染症など多岐にわたります。全身に菌がばらまかれる菌血症の状態なので早期に血液検査で病原微生物を同定する必要があります。診断が遅れると腎臓、肝臓など重要臓器の障害や血圧低下が進行し血液が酸性に傾き多臓器障害に陥ってしまうので早期受診、早期診断、治療が望まれます。

更新履歴

2022.9.26